初級者にお勧めの研修プログラムは何ですか?と聞かれたら、迷わず「英語プレゼンテーション」と答えます。
初級者にプレゼンなんて、そんな無茶な!と思われるかもしれませんが、無茶ではないのです。
ちんたらと(おっと、失礼)「英会話初級」などをやっているより、断然効果的です。(もちろん中級者以上でも同じです)
同じ期間、英会話初級を受けた受講者とプレゼンテーション研修を受けた受講者を比較すると、プレゼンテーション研修を受けた人の英語力の伸びはちょっと驚くほどです。
その理由は別の機会に書くことにします。
今日は、プレゼンテーション研修にまつわる”あるある”を一つご紹介します。
これまで様々な企業の研修で、初級から上級者まで幅広いレベルの受講者を対象に実施したプレゼンテーション研修で、必ずと言って良いほど同じ現象が起きるのです。
それも予想外の『大どんでん返し』なのです。
受講者の中に帰国子女がいる場合、一見ペラペラと話せる彼らのプレゼンテーションがどうしたわけか、一番お粗末な結果になってしまうのです。
逆に、大丈夫だろうか・・・と最初は心配してしまうような初級レベルの受講者のプレゼンが、高評価になるということがしばしば起きます。
研修期間中の受講者の様子から言えば、むしろその結果は当然だと言えるのかもしれません。
英語が上手くない受講者は、教わった基本に従って分かり易く構成を組み立て、表現やフレーズもシンプルで分かり易いものを使い、ゆっくりと丁寧に話します。
帰国子女の皆さんは、自分が使い慣れている言い回し、自分がいつもしゃべっているような論法で、早口で間がなく、どんどんマイペースでしゃべってしまうのです。英語は喋れる、と思っているだけに、基本の論理的な構成に従わず、彼らにとっては固くて言い慣れないフレーズも使いたがらないという傾向があり、そうなると普段、友達とチャットしているような雰囲気で、論点がはっきりせず、結局何が言いたかったのか?という結果になってしまいます。
プレゼンテーションといういわゆるフォーマルなシチュエーションにそぐわないのです。
そして、一番顕著な違いは、声を出して本番さながらのプレゼンテーションの練習をしません。
これも、英語の苦手意識が無いために、練習の必要はない、と思っているのでしょう。
プレゼンテーションは言葉から受ける情報だけではありません。
姿勢や体の動き、ジェスチャー、表情、声のトーンや大きさなど、言葉以外の要素も非常に重要ですので、こうしたことは実際にやらなければ自分がどのように見えているのか、声の大きさはこれで良いのか、など何もわからないのです。
考えてみて下さい。
日本人は日本語ペラペラですが、プレゼンテーションやスピーチを練習もせずにうまくできるわけがないですよね。
それと同じことなのですが、教える立場から何度言っても、つぶやくようにボソボソと練習するだけで、立って大きな声を出して練習しません。
そしていざ、人前に出てプレゼンテーションをし始めると、自分で自分のプレゼンが全然うまくいっていない事に気づくんですね。
それでどんどん焦って、不安になって、ますますうまくいかなくなってしまい、最後はもうしどろもどろになって終わってしまう、ということになるのです。
帰国子女の皆さんの英語力に期待しても、業務上のあらゆる場面でかならずしも有効に生かされるとは限らないのです。